リクエスト小説 「疾風(はしれ)! メロスがこんなに変態王子で大勝利!」 ③

眼が覚めたのは翌る日の薄明の頃である。
メロス(賢者Lv100)は跳ね起きた。
南無三、寝過したか、いや、まだまだ大丈夫、これからすぐに出発すれば、約束の刻限までには十分間に合う。
今日は是非とも、あの王に、人の信実の存するところを見せてやろう。そうして笑って磔の台に上ってやる。
メロス(賢者Lv99)は、悠々とコレクションを紐で縛りゴミ捨ての準備をはじめた。
雨も上がり、神々しいまでの朝の気配に満ちている。
準備は出来た。さて、メロス(賢者Lv94)は、両腕に大き荷物を抱え、栗の花香る部屋より出発した。

私は、今宵、殺される。殺される為に走るのだ。身代りの友を救う為に走るのだ。王の奸佞(かんねい)邪智を打ち破る為に走るのだ。走らなければならぬ。そうして、私は殺される。
その前に、死んだ後に見られちゃイケナイ系のコレクションは、ちょっと離れたゴミ捨て場に放置しなければならない。
名誉を守らねばならない。
人気の無いゴミ集積所に、ドサりと荷物を下ろす。その中には、自作の漫画も含まれている。
離れ際、走馬灯のように「彼女」との思い出が脳裏をよぎる。
さらば、マイスウィートメモリー。若いメロス(賢者Lv85)は、つらかった。
幾度か、立ちどまりそうになった。
えい、えいと大声挙げて自身を叱りながら走った。

村を出て、野を横切り、森をくぐり抜け、隣村に着いた頃には、日は高く昇って、そろそろ暑くなって来た。
メロス(賢者Lv73)はバンダナの汗をこぶしで払い、ここまで来れば大丈夫、もはや「彼女」への未練は無い。きっと佳い人に拾われるだろう。オイラには、いま、なんの気がかりも無い筈だ。まっすぐに王城に行き着けば、それでよいのだ。そんなに急ぐ必要も無い。
ゆっくり歩こう、と持ちまえの呑気(のんき)さを取り返し、好きなアニソンをいい声で歌い出した。





ぶらぶら歩いて二里行き三里行き、そろそろ全里程の半ばに到達した頃、降って湧(わ)いた災難、メロス(賢者Lv69)の足は、はたと、とまった。
見よ、前方の川を。いつもは橋があるのも申し訳ない程度のゆる緩い水たまりのようだが、きのうの雨で膝くらいまでの水嵩になり、まるで天然のプールである。
上流に目をやれば、そこではキャッキャと幼子達が水遊びに興じているではないか。
流れとは上から下に行くものである。そこに留まりはせず、必ず上から下に行くものだ。
彼は茫然と、立ちすくんだ。あちこちと眺めまわし、また、声にならない声で呼びたててみたが、理性(けんじゃたいむ)は残らず浪(にくよく)に浚(さら)われて影なく、流れ(かいめんたい)はいよいよ、ふくれ上り、股間の前部分は海のようになっている。

メロス(ゲスLv74)は川岸にうずくまり、男泣きに泣きながらゼウスに手を挙げて哀願した。

「ああ、鎮(しず)めたまえ、荒れ狂う流れ(かいめんたい)を! 時は刻々に過ぎて行きます。太陽も既に真昼時です。あれが沈んでしまわぬうちに、王城に行き着くことが出来なかったら、あの佳い友達が、私のために死ぬのです。」

濁流(こかんのにくぼう)は、メロス(ゲスLv88)の叫びをせせら笑う如く、ますます激しく躍り狂う。浪(にくよく)は浪(せいよく)を呑み、捲き、煽(あお)り立て、そうして時は、刻一刻と消えて行く。

今はメロス(ゲスLv93)も覚悟した。泳ぎ切るより他に無い。ああ、神々も照覧あれ! 濁流にも負けぬ愛と誠の偉大な力を、いまこそ発揮して見せる。
メロス(ゲスLv130)は、ざんぶと川に飛び込み、百匹の大蛇のようにのた打ち荒れ狂う浪を相手に、必死の闘争を開始した。
満身の力を腕にこめて、押し寄せ渦巻き引きずる流れを、なんのこれしきと掻(か)きわけ掻きわけ、ガブガブと川の水を飲んだ。



押し寄せ渦巻き引きずる流れを、なんのこれしきと掻(か)きわけ掻きわけ、ガブガブと川の水を飲んだ。

押し寄せ渦巻き引きずる流れを、なんのこれしきと掻(か)きわけ掻きわけ、ガブガブと川の水を飲んだ。

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押し寄せ渦巻き引きずる流れを、なんのこれしきと掻(か)きわけ掻きわけ、ガブガブと川の水を飲んだ。




めくらめっぽう獅子奮迅の人の子の姿には、その様子を見ていた幼子達の親も哀れと思ったか、ついに警察には通報せず子供達を川からあげると、そそくさとその場を去って行った。
ありがたい。
メロス(紳士Lv200)は馬のように大きな胴震いを一つして、すぐにまた先きを急いだ。

テーマ : 自作小説
ジャンル : 小説・文学

リクエスト小説 「疾風(はしれ)! メロスがこんなに変態王子で大勝利!」 ②

人はロリのみで生きるにあらず
ただロリとして生きるのみである
------ニー・ソクラテス


人がその人生の意味を見出すのは「いつ」か。
ともすれば、一生叶わぬかもしれないその真理にメロスが辿り着いたのは、10年前の事であった。
その頃のメロスは苦学生であった。母子家庭に育ち、貧しい中、母子二人で支えあって暮らしていた。
大学進学を熱望しながらも、生きる為に就職と言う道を選ぼうとしていた矢先、母の再婚が決まった。
相手は嘗(かつ)ての幼馴染(こうりゃくたいしょう)の子持ちバツイチ。
同窓会での再会がきっかけらしかった。
もう自分が母を守るべき存在ではないと確信していたメロスは、生きる目的を見失っていた。
両家の顔合わせの日。
誠実さと確かな力強さで差し出された義父の手を、ただ茫然と握り返したメロスの視界にそれは入り込んだ。
義父の足元、心細げにそのズボンの裾を掴む小さな手。
その手の持ち主の瞳が、じっとメロスを見つめる。
透き通るような肌。しっとりと艶のある唇。サラサラと日の光が微かに照らす髪。
促され言葉を発する。
「おにいちゃん?」
メロスの世界が色を増した。
ああ、私はこの子のために生きるのだ。この子を守る為に生きるのだ。
義妹(こうりゃくたいしょう)の誕生により、メロスはその人生の意味を悟った。
merosu2.jpg


その夜、一睡もせず十里の路を急ぎに急いで、村へ到着したのは、翌(あく)る日の午前、陽は既に高く昇って、村人たちは野に出て仕事をはじめていた。六歳の義妹も、きょうは兄の代りに羊群の番をしていた。よろめいて歩いて来る兄の、疲労困憊(こんぱい)の姿を見つけて驚いた。そうして、うるさく兄に質問を浴びせた。
「なんでも無い。」無理に笑おうと努めた。「市に用事を残して来た。またすぐ市に行かなければならぬ。あす、おまえと私の結婚式を挙げる。早いほうがよかろう。」
幼い義妹は頬をあからめた。
「うれしいか。綺麗(きれい)な衣裳も買って来た。さあ、これから行って、村の人たちに知らせて来い。兄妹の結婚式は、あすだと。」


ニヤリとメロスは笑った。
終電も終わり、徒歩での帰宅を余儀なくされたメロスは、その肉体的苦痛を緩和するために、ただひたすら妄想にふけった。家で幼な義妹(つま)が待っている、という明確な目的意識が両の脚を動かしたのだ。
しかし、実際に家では妹が友達を招いてお泊り会とやらをしている。正面から帰っても確実に罵詈雑言と共に追い返されるだろう。
しばし考えたメロスは、ご都合的な位置にある物置から2階へ、自分の部屋のベランダに飛び移る事にした。
その隣、妹の部屋からはもう明け方だと言うのに光が漏れている。慎重に行かなければならない。意を決してメロスは飛んだ。

メロスは、家へ帰って神々の祭壇を飾り、祝宴の席を調え、間もなく床に倒れ伏し、呼吸もせぬくらいの深い眠りに落ちてしまった。
眼が覚めたのは夜だった。メロスは起きてすぐ、法の番人の元を訪れた。そうして、少し事情があるから、結婚式を明日にしてくれ、と頼んだ。法の番人は驚き、それはいけない、妹さんは肉体的な意味で仕度が出来ていない、せめて法律的に大丈夫になるまで待ってくれ、と答えた。メロスは、待つことは出来ぬ、どうか明日にしてくれ給え、と更に押してたのんだ。法の番人も頑強であった。なかなか承諾してくれない。夜明けまで議論をつづけて、やっと、どうにか六法全書をなだめ、すかして、説き伏せた。結婚式は、真昼に行われた。


どうにか自分の部屋に辿り着いたメロスは、そのままベッドに倒れ伏し、いつも通り某キャラの抱き枕の股間部分をビョゥと吸い込み、呼吸もせぬくらいの深い眠りに落ちてしまった。
目が覚めたのは夜だった。メロスは起きてすぐコレクションの整理に取り掛かった。それも物音を立てないよう慎重に。
まずは全年齢対象か成人向けかに分け、更に成人向けの中でも癖(へき)としてセーフかアウトかに分類してゆく。
これはセーフ。これはアウト。アウト。アウト。セーフ。アウト。アウト。アウト。アウト。アウ・・・セーフ?
山となったアウトを前に、若干メロスは冷静になった。果たしてお幾らガバスをこれにつぎ込んだのか、考えたくもない。
はっ、とメロスは我に返り作業を再開した。更にアウトが詰み上がる。やがて、全ての分類が終わった。どうやって処分するかはさて置き。
一息つくと、これで最後とメロスは机のサイドチェスト、上から2段目を慎重に開け中に入っていた様々な真面目な歴史書物を全て取り除くと、底板を裏から軽く押した。ズズっと底が上がる。が、そこには板・紙束・更に板。2重のカムフラージュが施されていた。
紙束は漫画である。手描きの漫画である。成人向けである。内容はこうだ。
血の繋がらない(容姿の見た目が)幼い義妹が、クラスメイト数人をパジャマパーティーと称して家に招いた。遊びの輪に加わった義兄の事を以前から狙っていたクラスメイト達は、様々な手で兄を誘惑。それに嫉妬したお義兄ちゃん大好きな義妹も含め、あれやこれや。
無論、作者はメロスである。これだけは確実に始末しなければならない。他の全てはどうにかなっても、これだけは確実に燃やし尽くさねばならない。この欲望無限盛りだけは。しかし、出来る事ならば出版してみたかった。シラケで売ってみたかった。
そう言えば妹も現在お泊り会とやらの真っ最中のはずだが、不自然な程に声がしない。まだまだ寝るような時間でもないし、あの年頃の女共が寄り合って静かでいられるわけがない。どうなっているのだろうか。
メロスは慣れた手つきで「聴診器」的な物を装着すると、円盤を壁に押し付けた。
・・・・・・・・・・・・・・男の声がした。

新郎新婦の、神々への宣誓が済んだころ、黒雲が空を覆い、ぽつりぽつり雨が降り出し、やがて車軸を流すような大雨となった。祝宴に列席していた村人たちは、何か不吉なものを感じたが、それでも、めいめい気持を引きたて、狭い家の中で、むんむん蒸し暑いのも怺(こら)え、陽気に歌をうたい、手を拍(う)った。メロスも、満面に喜色を湛(たた)え、しばらくは、王とのあの約束をさえ忘れていた。祝宴は、夜に入っていよいよ乱れ華やかになり、人々は、外の豪雨を全く気にしなくなった。

いつの間にか外は豪雨だ。しかしメロスはそんな事には気にも留めず、耳に流れてくる音にのみ集中した。

メロスは、一生このままここにいたい、と思った。この幼い人たちと生涯暮して行きたいと願ったが、いまは、自分のからだで、自分のものでは無い。ままならぬ事である。メロスは、わが身に鞭打ち、ついに出発を決意した。あすの日没までには、まだ十分の時が在る。ちょっと一眠りして、それからすぐに出発しよう、と考えた。その頃には、雨も小降りになっていよう。少しでも永くこの妄想に愚図愚図とどまっていたかった。

かつて自分が一生を賭して守ると決めた最愛の人が短く息を吐く音を聞く。荒々しい雄の息遣いを聞く。木製のベッドが短い悲鳴を繰り返しているのを聞く。

メロスほどの男(しんし)にも、やはり未練の情というものは在る。ああなってしまっても、やはり最愛の義妹でったのだ。今宵呆然、歓喜に酔っているらしい花嫁に近寄り、「おめでとう。私は疲れてしまったから、ちょっとご免こうむって眠りたい。眼が覚めたら、すぐに市に出かける。大切な用事があるのだ。私がいなくても、もうおまえには優しい亭主があるのだから、決して寂しい事は無い。おまえの兄の、一ばんきらいなものは、スカ○ロと、それから、熟女だ。おまえも、それは、知っているね。亭主との間に、どんな秘密でも作ってはならぬ。試したいプレイは正直に打ち明けあうがいい。おまえに言いたいのは、それだけだ。おまえの兄は、たぶん偉い男(しんし)なのだから、おまえもその誇りを持っていろ。」
花嫁は、夢見心地で首肯(うなず)いた。


突然扉を開けて入ってきた下半身裸の兄の姿を見て、全裸の妹は何が起こったのかわからない顔している。

メロスは、それから花婿の肩をたたいて、「仕度の無いのはお互さまさ。私の家にも、宝といっては、妹と私のコレクションだけだ。他には、何も無い。全部あげよう。もう一つ、メロスの弟になったことを誇ってくれ。」
花婿は揉(も)み手して、てれていた。


妹の上に覆いかぶさっている全裸の男も硬直している。おっと、大事な部分だけは神速で硬直が溶けた。

メロスは笑って会釈(えしゃく)して、宴席から立ち去り、羊小屋にもぐり込んで、死んだように深く眠った。

メロスは笑って会釈(えしゃく)して、妹の部屋から立ち去り、咲き乱れた白椿が花粉をまき散らす自室に戻り、死んだように深く眠った。

-続く-


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挿絵うp。六歳は幼すぎ。

テーマ : 二次創作
ジャンル : 小説・文学

リクエスト小説 「疾風(はしれ)! メロスがこんなに変態王子で大勝利!」 ①

メロスは激怒した。必ず、かの邪智暴虐(じゃちぼうぎゃく)の王を除かなければならぬと決意した。
メロスには政治がわからぬ。
メロスは、ロリオタニートである。親の脛をかじり、遊んで暮して来た。けれども邪悪に対しては、人一倍に敏感であった。

きょう未明メロスは村を出発し、野を越え山越え、十里はなれた此(こ)のシラクスマーケット(略称シラケ)にやって来た。
メロスには父も、母も無い。海外出張中である。
十六の、リア充な妹と二人暮しだ。この妹は、学校の友達を家に招いてお泊り会をする事になっていた。
「マジ当分家にいないでくれる?」
メロスは、それゆえ、、お目当ての新刊やら、フィギュアやらを買いにはるばる市にやって来たのだ。

先ず、その品々を買い集め、それから企業ブースをぶらぶら歩いた。
メロスには竹馬の友があった。セリヌンティウスである。
今は此のシラケで、創作ロリ凌辱本を販売している。その友のブースを、これから訪ねてみるつもりなのだ。
久しく逢わなかったのだから、訪ねて行くのが楽しみである。
歩いているうちにメロスは、会場の様子を怪しく思った。ひっそりしている。
もう開場から時間もたって、人が少なくなってきているのは当りまえだが、けれども、なんだか、壁サークルがペラいコピ本しか出さなかったせいばかりでは無く、会場全体が、やけに寂しい。
のんきなメロスも、だんだん不安になって来た。
路で逢った老爺(パヤオ)に訪ねた。老爺は、あたりをはばかる低声で、わずか答えた。

「王様は、児ポを規制します。」
「なぜ規制するのだ。」
「未成年への性犯罪を助長させるというのですが、誰もそんな非紳士的な行為はしませぬ。」
「たくさんの児ポを規制したのか。」
「はい、はじめは漫画を。それから、アニメを。それから、ラノベを。それから、ネットの画像検索を。」
「おどろいた。国王は乱心か。」
「いいえ、乱心ではございませぬ。ペドを、信ずる事が出来ぬ、というのです。このごろは、臣下の性癖をも、お疑いになり、少ししでも幼女に対して接近せねばならぬ場合には、貞操帯の着用命じて居ります。御命令を拒めば十字架にかけられて、殺されます。きょうは、六人の紳士が殺されました。」
「呆(あき)れた王だ。生かして置けぬ。」
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メロスは、単純な男であった。買い物を、背負ったままで、のそのそ王城にはいって行った。たちまち彼は、巡邏(じゅんら)の警吏に捕縛された。調べられて、メロスの懐中からは幼女が裸でアハンウフンする薄い本が出て来たので、騒ぎが大きくなってしまった。メロスは、王の前に引き出された。

「この同人誌で何をするつもりであったか。言え!」暴君ディオニスは静かに、けれども威厳を以(もっ)て問いつめた。
その王の顔は蒼白(そうはく)で、眉間(みけん)の皺(しわ)は、刻み込まれたように深かった。
「医学的な興味本位です。」とメロスは悪びれずに答えた。
「え、何言ってるの?」王は、憫笑(びんしょう)した。
「仕方の無い変態じゃ。おまえには、わしの苦悩がわからぬ。」
「言うな!」とメロスは、いきり立って反駁(はんばく)した。「人の性癖を疑うのは、最も恥ずべき悪徳だ。王は、ペドの紳士性をさえ疑って居られる。」
「疑うのが、正当の心構えなのだと、わしに教えてくれたのは、おまえたちだ。ペドの心は、あてにならない。人間は、もともとエロスのかたまりさ。信じては、ならぬ。」
暴君は落着いて呟(つぶや)き、ほっと溜息(ためいき)をついた。
「わしだって、まともな性癖になったお前等が出生率が上げる事を望んでいるのだが。」
「なんの為の規制だ。自分の政治家生命を守る為か。」こんどはメロスが嘲笑した。
「罪の無い人を殺して、何が出生率だ。」
「だまれ、下賤(げせん)の者。」王は、さっと顔を挙げて報いた。
「口では、どんな清らかな事でも言える。わしには、変態共の腹綿の奥底が見え透いてならぬ。おまえだって、いまに、磔(きっこうしばり)になってから、泣いて詫(わ)びたって聞かぬぞ。」
「ああ、王は悧巧(りこう)だ。自惚(うぬぼ)れているがよい。私は、ちゃんと死ぬ覚悟で居るのに。命乞いなど決してしない。ただ、――」と言いかけて、メロスは足もとに視線を落し瞬時ためらい、「ただ、私に情をかけたいつもりなら、三日間の日限を与えて下さい。自分の部屋に隠したお宝グッズを処分したいのです。三日のうちに、私は親に遺品の整理をされても大丈夫なようにして、必ず、ここへ帰って来ます。」
「ばかな。」と暴君は、嗄(しわが)れた声で低く笑った。
「とんでもない嘘(うそ)を言うわい。逃がしたペドが帰って来るというのか。」
「そうです。帰って来るのです。」メロスは必死で言い張った。「私は約束を守ります。私を、三日間だけ許して下さい。秘蔵のコレクションが、私の帰りを待っているのだ。そんなに私を信じられないならば、よろしい、このシラケにセリヌンティウスというロリ同人作家がいます。私の無二の友人だ。あれを、人質としてここに置いて行こう。私が逃げてしまって、三日目の日暮まで、ここに帰って来なかったら、あの友人を絞め殺して下さい。たのむ、そうして下さい。」

それを聞いて王は、残虐な気持で、そっと北叟笑(ほくそえ)んだ。生意気なことを言うわい。どうせ帰って来ないにきまっている。この嘘つきに騙(だま)された振りして、放してやるのも面白い。そうして身代りのペドを、三日目に殺してやるのも気味がいい。ペド野郎は、これだから信じられぬと、わしは悲しい顔して、その身代りの男の本で火をつけて火あぶりの刑に処してやるのだ。世の中の、変態と言う名の紳士とかいう奴輩(やつばら)にうんと見せつけてやりたいものさ。

「願いを、聞いた。その身代りを呼ぶがよい。三日目には日没までに帰って来い。おくれたら、その身代りを、きっと殺すぞ。ちょっとおくれて来るがいい。おまえの性癖は、永遠にゆるしてやろうぞ。」
「なに、何をおっしゃる。」
「はは。いのちが大事だったら、おくれて来い。おまえの心は、わかっているぞ。」
メロスは口惜しく、地団駄(じだんだ)踏んだ。ものも言いたくなくなった。
竹馬の友、セリヌンティウスは、王城に召された。暴君ディオニスの面前で、佳(よ)き友と佳き友は、二年ぶりで相逢うた。メロスは、友に一切の事情を語った。セリヌンティウスは無言で首肯(うなず)き、メロスをひしと抱きしめた。友と友の間は、それでよかった。セリヌンティウスは、縄打たれた。メロスは、すぐに出発した。初夏、満天の星である。

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チョコの人追記
挿絵遅れたっす。

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